当院では歯科治療に力を入れています。
歯周病は犬猫に多く、特に成犬の8割は歯周病にかかっていると言われています。歯周病を放置すると、痛いばかりでなく、顎の骨が溶けたり、心臓病などの他の病気が悪化したりします。そのため、小さい頃からのケアで歯周病を予防することが大事です。
もしも歯周病になってしまったら、歯石除去や抜歯などの積極的な治療が必要になる場合があります。麻酔をかけた処置では、歯周ポケットの内側に侵入した感染巣を除去し、歯の表面をツルツルに磨いて新たな歯石を予防します。
5歳を過ぎたら、歯周病の定期検診を受けることをお勧めします。
たくさん歯石が付いています。
真っ白な歯が出てきました!!
▶︎ 高齢犬の歯石除去について
「歯周病がひどくても、高齢なので麻酔に耐えられるか不安・・・」
そんな相談をよくいただきます。高齢犬に全身麻酔をかけることはリスクを伴いますが、歯周病自体のリスクよりもはるかに低いことが多いです。高齢だからこそ、顎の骨が溶けたり、歯周病菌が全身の臓器に害を与えたりしないように治療することが大事なのです。
当院では入念な麻酔前検査で全身の状態を把握して麻酔に備え、また麻酔中も体の状態をモニターしながら慎重に処置を実施します。歯周病が気になる方は、まずは当院までご相談ください。
▶︎ 麻酔を使わない歯石とりについて
最近、ペットショップなどで、数千円の費用で歯石とりをするサービスがあります。
麻酔が必要ない上に、歯が綺麗になったように見えますが、歯周病の治療効果はほとんどありませんので注意が必要です。口臭が無くなっても安心してはいけません。歯周ポケットの奥についた歯石を除去しないと、歯はきれいにみえるのに抜けるといった結果になる恐れがあります。
ご家族が歯石とりをご希望になる段階では、歯周病は高い確率で進行していて、治療には全身麻酔が必要です。全身麻酔下での処置では、歯の根っこについている歯石を丁寧に取ることで、できる限り歯を温存します。また、歯石から全身に侵入するばい菌を除去することができます。
詳しくは→ブログ「無麻酔で歯石を取るのは危険です」
▶︎歯カット(生活歯髄切断術)
歯が折れた、長すぎて歯ぐきや唇に刺さる、または重度の噛み癖などのときに、歯を短くすることがあります。これを生活歯髄切断術といいます。
歯の中心には、神経や血管が通う歯髄があります。歯髄が見えていると、しみたり、炎症をおこして歯を失ったりしてしまいます。そこで、歯を温存し将来のトラブルを防ぐのがこの処置の目的です。
詳しくは→ブログ「歯カット(生活歯髄切断術)」
▶︎破折
あまり知られていませんが、犬の歯は人のものより脆いです。このため、蹄やプラスチックのような硬いものを噛んで折れることがよくあります。
特に上顎の一番大きな奥歯が折れやすく、歯髄が見えてみることも少なくありません。このような場合でも、すぐに処置すれば歯と顎を温存できます。