去勢・避妊をはじめ、様々な軟部外科手術を行っています。実施の前に十分なご相談をさせていただき、費用や手術の危険性などにご同意いただい上で手術を実施いたします。
手術前には原則として、身体検査・血液検査を実施し、高齢であったり、基礎疾患のあるケースでは、特に心臓超音波検査やレントゲン検査、追加の血液検査を追加して、入念に健康状態を調べた上で手術に進みます。
手術は通常、イソフルランによるガス麻酔が行われます。麻酔ガスにより動物は眠った状態になります。麻酔中は呼吸が不十分になりますから、喉にビニール製のチューブを挿管し、人工呼吸器に接続しています。術中は心電図、呼吸回数、酸素や二酸化炭素の濃度(カプノグラフ、パルスオキシメーター)、血圧などを監視しています。
イソフルラン単剤では、必要な麻酔深度を得るために高濃度のガスが必要になり、心抑制や血圧の低下が起こります。当院では、他の薬剤を組み合わせて麻酔の量を必要十分なレベルまで低下させ、極力体に負担の少ない、安全かつ必要最低限の麻酔を心がけています。
▶︎ 軟部外科手術実績(2015-2017)
避妊・去勢手術 | 176件 |
陰睾丸摘出 | 4件 |
乳腺腫瘍切除 | 10件 |
胃切開(異物除去) | 2件 |
腸切開・吻合(異物除去) | 3件 |
臍ヘルニア整復 | 3件 |
腹壁ヘルニア整復 | 1件 |
鼠径ヘルニア整復 | 1件 |
眼瞼腫瘤切除 | 1件 |
子宮卵巣摘出術(子宮蓄膿症等) | 6件 |
帝王切開術 | 2件 |
動脈管閉鎖術 (犬の先天性心疾患の治療) | 1件 |
体表腫瘤切除 | 4件 |
全耳道切除( TECA) | 1件 |
▶︎ 血管シーリングシステム
体内の太い血管を止血するためには、糸で結紮する方法が一般的ですが、体内に糸を残すことになります。当院では、熱凝固により血管を止血するシステムを導入しています。この方法では、体内に糸を残すことがないほか、糸で結紮するよりも短い手術時間で済みます。
青い鉗子で挟んだところに熱を加えています。
熱を加えた後の写真です。血管が熱で白く凝固しています。
凝固した部分で切断します。出血はありません。