歯が折れた、長すぎて歯ぐきや唇に刺さる、または重度の噛み癖などのときに、歯を短くすることがあります。これを生活歯髄切断術といいます。
歯の中心には、神経や血管が通う歯髄があります。歯髄が見えていると、しみたり、炎症をおこして歯を失ったりしてしまいます。そこで、歯を温存し将来のトラブルを防ぐのがこの処置の目的です。今回は実際のケースをご紹介します。
この若い猫ちゃん、キャットタワーから落ちて犬歯が折れてしまいました。また以前から犬歯が下唇に刺さって血が出ることが続いたため、この機会に左右の上顎犬歯を短くすることにしました。
※歯の治療の写真が苦手な方はご注意下さい。
はじめに口の中を診ると、歯石や歯ぐきの赤みがあります。また歯垢で表面が凸凹になっています。歯周病になり始めているので、先にそちらを治療します。
超音波洗浄の後ブラシで細かな歯石を除き、さらにカップで歯周ポケットの中まで仕上げ磨きをします。
消毒液で洗い流したら、清潔で、新たな歯石がつきにくい歯になりました。
さて、ここからが歯カットです。唾が流れ込まないように仰向けにすると、折れた歯の中心に歯髄が見えます。犬歯を短く切りそろえ、中を削り、さらに歯髄を掘り進めます。
次に歯髄を守る詰め物をします。光を当てて固め、もう1層別の詰め物で蓋をします。
そこへ、歯科用接着剤のための下処理をし、被せ物が剥がれないように接着剤を塗ります。
最終的に歯と同じ色の被せ物を重ねたら、、、
いよいよ仕上げです。被せ物の表面を滑らかにして完成。
もう噛み締めても痛くありません。
いかがでしたか?全身麻酔で眠っている間に一回で終わるのは羨ましいかも?!
愛犬、愛猫の歯を温存しつつ、痛くならないようにしてあげたい方はご相談ください。